新年度の幕開け


 思い返すと、3/30(土)汐留シオサイトでの「東北応援ビレッジ」が、年度末から新年度に切り替わる、大きな節目でした。
 心に残っているのは、土壌スクリーニング・プロジェクトのJA新ふくしま担当・紺野茂美氏のバンド「縁屋<ENYHA>」の演奏。中でも、「神戸から東北に唄い継がれ、福島ではオレたちが唄い継ぐ」と仰る「満月の夕」の余韻に、この1週間浸っています。

 おかげで、素晴らしい新年度の幕開けになりました。
 ビレッジ参加に導いてくださった日生協・尾崎さん、JCN福島担当・鈴木さん他、ボランティアやご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 今週は、本来月曜日にあるレクチャーも、福島大で辞令式があったため火曜日に。

 思えば2011年夏、小松先生も北海道大学から来られる以前、小山先生から圃場一枚一枚測ることの重要性と必然性を伺いました。本年度はさらに、頼もしい研究者、お仲間と共に、総勢20名にもなる万全の体制の「小山チーム」に驚き、期待膨らみます。

新年度から着任された松井うつくしまふくしま未来支援センター長他、新体制による初の現場視察。やっと暖かくなってきたとはいえ、今度は雨が作業の敵です

 プロジェクトの正式始動から20週を超え、新規参加とリピーターが混ざりながら増える中、「福島の伝導師」予備軍の皆様によりその魅力を体感していただくべく、新しい提案やコースも随時考えています。

 ボランティアの皆様に泊まっていただくプラザホテル吾妻は、飯坂温泉にあります。

 宿は、「311以降、お客さんの激減した温泉街を泊まって支援」という意味を含みつつ、「疲れた身体を温泉で癒して」ということで決まりました。そして、もちろんホテルの温泉もオススメながら、飯坂温泉の共同浴場巡りも一興です。

有名な鯖湖湯他、この導専の湯や切湯等々、歩ける範囲にいくつもの情緒溢れる共同浴場があります。源泉は90度以上という「熱さ」が特色のお湯と、一見さんはうろたえる熱い湯に平然と浸かる地元の方々との交流で、心身共に温まってみてはいかがでしょう

 今回交流会に参加いただいた生産農家さんは、プロジェクトの意義に賛同くださり、これまでも幾度となく協力くださってきたふくしま土壌クラブから、橘内さんと松本さん。橘内さんが地元ということで、会場も初めて飯坂温泉にしてみました。

これまでボランティアを最も送り込んでくださってきたならコープ・杉本さんも合流し、賑やかな交流会となりました

 年度はじめの繁忙期にも関わらず来福いただいたボランティアは、毎週お一人ずつ送り込んでくださる大阪いずみ市民生協より湊様。映画にもなった双葉町からの避難所が近所にあるというコープみらい=旧さいたまより西田様。そして、時間あれば東北へ、個人でもボランティアに入り続けているコープみらい=旧とうきょうより幾島様のお三方。
 本当に、ありがとうございました。
 そこで、何度も福島に来ていただいているならコープ・杉本さん。ならコープとして、今の福島を「学びの場」と受けとめてくださっているとの言葉が、印象的でした。

 最終日の作業後は通常どおり、紺野さんも同席され、JA新ふくしまでのワークショップです。
 下に、それぞれのお言葉を紹介します。

左から、なら・杉本さん、大阪・湊さん、みらい・西田さん、みらい・幾島さん


 まず、宅配事業部で業務改革マネージャーを務められる、湊さん。
「理想は現場担当者が来るべきだが、まず自分が来た。大阪にある福島の話はほぼ『風評被害』。交流会で『いつまでも安心、安全だからでなく、美味しいからという理由で買って欲しい』と仰った地元農家さんの言葉が印象的。必要なのは、現地の方々が自ら立つことができるような支援。ただ人員やお金をかければ解決する問題ではなく、消費者と近い生協にやれることはあるはず」
 次に、埼玉で配達を担当されている西田さん。
「自分は組合員さんと最も近い立場。しかも、実際に避難してきて、埼玉に移り住んだ配達先さんを3つ受け持っている。そして自分の父が、すでに定年退職しているが、元東電職員。福島にはスノーボードや温泉に来ていた。ほんの少しでも恩返しの気持ち。福大の先生や生産者の言葉を直に聞けたのは大きいし、放射能に対する怖さも減った。埼玉に避難している方々の生活は、もちろん当初ストレスもあったろうが、最近は次に行こうとしている。『たくさんの助けがあった』と皆さん言う」
 そして、東京は新宿で同じく配達担当の幾島さん。
「福島の地が関東、関西から来た人たちの情報交換の場となっていた。各地にどんな消費者がいるか聞けたのは大きい。作業は、現場スタッフとの交流が肝。特に大きな理由なく、普通のバイト感覚でやっている若いスタッフに驚いた。それが福島の最前線の状況で、現実。そしてそれが、全国から高い意識で来るであろう、たいていが歳上のボランティアと毎週交流し、揉まれる。また、測ってると話しかけてくる、田んぼの持ち主さんへの対応も重要。福島は、食も温泉も、とにかく良かった」
 最後に、ならコープの杉本さん。
「最初から節目節目に来ている。プロジェクトが当初よりも農家さんに受け入れられ、『ご苦労さん』という雰囲気を感じた。交流会での農家さんの話からも『なんとかしていこう』という気持ちを感じた。大きくぼんやりしていたものが、徐々に固まってきているように感じる。実作業は、今年度中に管内をやり切れるかが山場。そこが今後に繋がっていくはず」

 なんともありがたく、鼓舞され、しかし的確な言葉が多かったように思いました。
 そして最後、紺野さんからの締めの言葉にあった、
「県内における現状の方針では、生産者がつくる勇気を持てない。土壌スクリーニングを基盤として、胸を張って農業ができる状況をつくっていく」
ということ以上の目標は、ありません。

4/5/2013
事務局



来週4/8の週は、初めて事務局不在の、別体制での受け入れとなります。
 そして、また次の週には元に戻ります。
 ご心配には及びませんので、どうかお願いいたします。